こんにちは、とし(@tyobory)です。
マクロ経済学第1回のテーマは「$\small GDP$(国内総生産)」です。では、今回の目次です。
- $\small GDP$(国内総生産)
- $\small NDP・GNP・NI$(国内純生産・国民総生産・国民所得)
- 三面等価の原則(国内総生産・国民総所得・国民総支出)
$\small GDP=GDI=GDE$
マクロ経済学は一国の経済活動を分析する学問で、ミクロ経済学とは対照的に、一国の経済活動のアウトプットであるGDP(国内総生産)を最大化することを目的としています。
以下、GDPの概念とその周辺の経済学用語を理解しつつ、「三面等価の原則」についてまとめていきます。
【マクロ経済学】GDP(国民総生産)を理解する(NDP・NNP・NIも)
GDPを正しく理解する。
GDP(国内総生産)とは何?
ニュースでよく「GDP」というフレーズが出てきますが、正確に定義を言えますでしょうか?
まず、GDPは「Gross Domestic Product(グロス、ドメスティック、プロダクト)」の略です。
Gross:総 Domestic:国内 Product:生産物
⇒つまり、GDPは「国内総生産」と訳されます。
日本のGDPは、アメリカ、中国に次いで第3位とされています(約500兆円)。
さらに理解を深めるには、「付加価値(added-value)」を正しく理解する必要があります。
付加価値(added-value)とは
GDPは「付加価値の総額」として示されますが、付加価値の概念図を表したのが下図です。
上図から、「付加価値」とはまさに付け加えられた価値のことで、りんごを例に挙げると、りんごそのものの価値⇒りんごをジュースにした価値⇒りんごをジュースとして販売した価値、のように表すことができます。
GDPの計算では、市場に取引されている財やサービスを対象として、その付加価値の総額を算出していきます。同時に、GDPの大きさは一国の豊かさとして示されています。
以上を踏まえ、GDPから派生して経済指標を確認していきます。
GDPからNDP、GNP、NIの導出
GDP(国内総生産)からさまざまな経済指標を導出できます。
NDP:国内純生産(GDPー固定資本減耗)
GNP:国民総生産(GDP+海外からの純所得)=国民総所得:GNI
NI :国民所得(GDP+海外からの純所得ー固定資本減耗ー(間接税ー補助金))
=GNPー固定資本減耗ー(間接税ー補助金)
固定資本減耗:機械とか固定資本を使用したときの目減り部分
海外からの純所得:その国民が海外で生み出した価値
間接税:消費税など
補助金:出産・子育て給付金など
NDPは「Net Domestic Product」の略で、国内純生産は「ある国内で一定期間に、純粋に生み出された付加価値の総額」と定義されます。
GNPは「Gross National Product」の略で、国民総生産は「ある国民が一定期間に生み出した付加価値の総額」として表され、現在は国民総所得(GNI)とも言われています。
NIは「National Income」の略で、国民所得は「ある国の国民の一定期間の所得総額」と定義されます。GNP(=GNI)から固定資本減耗と(間接税ー補助金)を差し引いた額となり、国民が受け取る所得総額です。
以上を押さえとけば、たいてい大丈夫だと思います。
【マクロ経済学】GDP(国民総生産)から、「三面等価の原則」を理解する
GDPを多面的にとらえる。
三面等価の原則とは何か【生産面=分配面=支出面】
生産されたGDPは、分配面と支出面からも捉えることができます。
分配面からみたGDP
GDI=雇用者所得+営業余剰+(間接税ー補助金)+固定資本減耗
GDI:Gross Domestic Income(国内総所得)
支出面からみたGDP
GDE=民間最終消費支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+政府最終消費支出+(輸出ー輸入)
GDE:Gross Domestic Expenditure
つまり、三面等価の原則とは
生産面からみたGDP:付加価値の発生という「生産面」
分配面からみたGDP:付加価値が所得として各経済主体に分配される「分配面」
支出面からみたGDP:生産された最終生産物に対する「支出面」
これだけではよく分からないと思うので、さらに深掘りします。
分配面からみたGDP【GDI:国内総所得】
生産されたGDPは各経済主体に分配されます。この経済主体とは消費者・企業・政府の3主体です。
GDI=雇用者所得+営業余剰+(間接税ー補助金)+固定資本減耗
1.消費者:雇用者所得
2.企業:営業余剰、固定資本減耗
3.政府:間接税ー補助金
「雇用者所得」は、労働の対価として消費者が受け取る所得です。
「営業余剰」は企業が受け取る超過利潤です。また、「固定資本減耗」は企業が機械等の目減部分に対して支払いしているため、その分をプラスします。
最後に、政府の所得として税金があり、これは「(間接税ー補助金)」で表されます。なぜ間接税かと言うと、直接税である所得税は消費者の雇用者所得に含まれ、財・サービスを購入すると消費税など間接税が循環するからです。
このように、経済主体は消費者・企業・政府の3主体で、支出面も同じように考えられます。
支出面からみたGDP【GDE:国内総支出】
経済主体に分配されたGDPは、消費として支出することになります。
GDE=民間最終消費支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+政府最終消費支出+(輸出ー輸入)
1.消費者:民間最終消費支出
2.企業:国内総固定資本形成+在庫品増加
3.政府:政府最終消費支出
4.純輸出:輸出ー輸入
消費者に分配された所得は、「民間最終消費支出」の項目として民間支出が推計されます。
企業に分配された所得は、新規固定資本の購入額である「国内総固定資本形成」と、支出後の売れ残りである「在庫品増加」の合計額として考えることができます。
政府の所得は、消費者と同様に支出され、「政府最終消費支出」として表されます。
最後に、純輸出(輸出ー輸入)は海外経常余剰といわれ、輸出は外国からの財の需要を意味し、支出があったとみなします。一方、輸入される財への支出は、その財を消費しても海外の財に支出しているためマイナスとなります。
以上、GDPと三面等価の原則になります。
おわりに:まずはGDPを理解する
今回のテーマで一番大事なのは、GDPの正確な定義を理解することです。以下、復習です。
1.GDPとは「ある国内で一定期間に生産された付加価値の総額」
2.GDPは「生産面」=「分配面」=「支出面」で等しくなる(「三面等価の原則」)
以上となります。参考になった方は応援もよろしくお願いします!
【参考文献】
中谷巌(2021)『入門マクロ経済学〔第6版〕』日本評論社.
齋藤誠他(2016)『マクロ経済学 新版』有斐閣.
大竹文雄(2007)『スタディガイド 入門マクロ経済学(第5版)』日本評論社.
マクロ経済学の学習はこちら マクロ経済学を学ぶ【記事一覧】
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