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【ミクロ経済学】企業の利潤最大化と最適生産【限界費用・限界収入・限界利潤】

ミクロ経済学
この記事は約5分で読めます。
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こんにちは、とし(@tyobory)です。

ミクロ経済学第9回テーマは「企業の利潤最大化と最適生産」です。

第8回では、生産関数から逆S字型の総費用曲線を導出し、総費用曲線に基づき企業の利潤最大化を考えていきます。まだ未学習の方は、下記の記事をご参考ください。

【ミクロ経済学】生産関数と総費用【限界生産力と総費用曲線】
本記事では、生産関数を定義し、総費用曲線を導出していきます。生産関数はS字型の生産関数を図示し、可変費用曲線を導出します。最終的には、総費用曲線は逆S字型の曲線として示されます。

目次:「企業の利潤最大化と最適生産」

1.総費用曲線と限界費用($\small MC$)
2.総収入曲線と限界収入($\small MR$)
3.企業の利潤最大化条件と最適生産

本記事では、企業の利潤最大化条件と最適生産について、限界利潤・限界収入・限界費用の観点から議論を進めていきます。

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【ミクロ経済学】企業の利潤最大化と最適生産【限界収入・限界費用・限界利潤】

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最適生産の条件とは…

総収入曲線と限界収入(TRとMR)

まず、利潤関数を定義すると、以下のように示されます(第7回の復習)。

― 生産者の利潤 ―
$\small \Pi = TR-TC=P \times Q -(VC+FC)$
( $\small \Pi$:利潤、$\small TR$:総収入、$\small TC$:総費用、
$\small P$:価格、$\small Q$:生産量、$\small VC$:可変費用、$\small FC$:固定費用 )

総収入($\small TR:Total\,Revenue$):企業が財やサービスを売って得られる収入の総額
総費用($\small TC:Total\,Cost$):企業が財やサービスを生産するのに必要な費用の総額
可変費用($\small VC:Variable\,Cost$):生産量に応じて生じる費用
固定費用($\small FC:Fixed\,Cost$):生産量に関わらず生じる費用

ここで、総収入($\small TR$)を取り出し図示すると、次のように描かれます。

総収入は企業の売上総利益であり、財・サービスの価格($\small P$)に生産量($\small Q$)を乗じることにより示されます。ここで、生産量を増やしたとき、どれくらい収入が増えるを示したものが、限界収入($\small MR$)です。

限界収入:$\small MR=\frac{\displaystyle ΔTR}{\displaystyle ΔQ}=P$ $\\$ ($\small MR$:限界収入、$\small TR$:総収入、$\small P$:価格、$\small Q$:生産量)

― 限界収入($\small MR:Marginal \, Revenue$)―$\\$ 生産量を1単位増やしたとき、総収入がどのくらい増加するか

限界収入($\small MR$)は、完全競争市場のとき、財・サービスの価格($\small P$)は市場で決定されるため、$\small MR=P$となります。

総費用曲線と限界費用(TCとMC)

次に、総費用(MC)と限界費用を図示すると、次のように描かれます。

限界費用:$\small MC=\frac{\displaystyle ΔTC}{\displaystyle ΔQ}$ $\\$ ($\small MC$:限界費用、$\small TC$:総費用、$\small P$:価格、$\small Q$:生産量)

― 限界費用($\small MC:Marginal \, Cost$)―$\\$ 生産量を1単位増やしたとき、総費用がどのくらい増加するか

つまり、限界費用は総費用曲線の接線で表されます(総費用関数を生産量で微分する)。

限界利潤と利潤最大化

以上をまとめると、限界利潤は次のように表されます。 

$\small 限界利潤=限界収入(MR)-限界費用(MC)$

限界利潤とは、生産量を追加的に1単位増加させたときの生産者の利潤の増加分のこと

限界利潤がプラスのとき、$\small MR>MC$の状態であるため、生産量を増やすと総収入が増え、利潤が増加する。つまり、このとき利潤最大化条件ではない。

一方、限界利潤がマイナスのとき、$\small MC>MR$の状態であるため、生産量を減らすと利潤が増加する。したがって、ここでも利潤は最大化されない。

つまり、限界収入と限界費用が等しいとき、生産量を増減させると、どちらとも利潤が低下してしまうので、利潤最大化条件は$\small MR=MC$のときである。

企業の利潤最大化条件(グラフで解説)

これまで見てきた総費用曲線や総収入曲線を合わせた図は次のようになります。

企業の利潤最大化について、限界収入と限界費用の観点から考えます。

まず、$\small Q_1$のとき、$\small P_1>MC$であり、総収入線($\small TR$)の傾きは限界費用($\small MC$)よりも大きい状態です。つまり、生産量を増やすと利潤が増加するため、企業はさらに生産量を増やします。

一方、$\small Q_2$のとき、$\small MC>P_2$であり、総収入線($\small TR$)の傾きは限界費用($\small MC$)よりも小さい状態です。つまり、生産量を増やすと収入の増加分より費用の増加分のほうが大きいため、企業は生産量を減らします。

$\small Q^*$のとき、$\small P=MC$であり、生産量を増やしたときの収入の増加分($\small P$)と費用の増加分($\small MC$)が等しくなるため、限界利潤が発生せず、点$\small E^*$で企業の利潤最大化させる生産量となります。

―企業の利潤最大化条件:販売面―$\\$$\small P=MC$

おわりに:企業の利潤最大化は色んなパターンがある

今回ご紹介した企業の利潤最大化問題は、市場価格(P)が与えられる完全競争市場を想定しています。

この他にも…

・独占市場
・複占・寡占市場
・ベルトラン・クールノー・シュタッケルベルク

様々な制約のもとで、企業の利潤最大化問題を解かされます。まずは、基本パターンである完全競争市場における企業の利潤最大化をマスターしましょう!

以上となります。参考になった方は応援もよろしくお願いします!

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【参考文献】
神取道宏(2014)『ミクロ経済学の力』日本評論社.

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