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【マクロ経済学】国民所得の決定理論【総需要と総供給、有効需要の原理を理解】

こんにちは、とし(@tyobory)です。

マクロ経済学第4回のテーマで、「国民所得の決定理論」についてです。今回の目次は次のとおり。

目次:「国民所得の決定理論」

1.総需要と総供給を理解($\small Y_d=Y_s$)
2.財市場の均衡(国民所得の決定メカニズム)
3.有効需要の原理

これまでの第3回まで、国民所得(GDP)の概念から始まり、消費関数と貯蓄関数について取り上げましたが、これらの概念を用いて、財市場における国民所得の決定理論についてまとめます。

まだ、未学習の方は下記の記事を合わせてご参照ください!

以下、国民所得の決定メカニズムと有効需要の原理を掘り下げていきます。

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【マクロ経済学】国民所得の決定理論【総需要と総供給を理解】

総需要と総供給を理解。

総需要曲線を理解する

総需要のコンセプトは、ある国の経済全体で需要される財の総量を考えていきます。財の総需要曲線はGDP(国民総生産)の支出面をモデル式に書き換えて表されます(下図)。

総需要:$\small Y_d=C+I+G+(EX-IM)$
(C:消費、I:投資、G:政府支出、EX:輸出、IM:輸入)
GDP=民間消費(C)+企業の投資(I)+政府の消費(G)+輸出入(EX-IM)

総需要曲線($\small Y_d$)は、消費曲線($\small C$)が基本線となっている。

この消費曲線に、投資($\small I$)と政府支出($\small G$)を足し合わせて平行移動させた線が、国の経済全体の総需要を表す曲線として示される。

総供給曲線を理解する

総供給は、ある国全体で生産される財の総産出量の観点から考えます。GDP(国内総生産)は「三面等価の原則」により、総供給は総分配に当たるため、次のように図示されます。

総供給:$\small Y_s=C+S+T=Y$
(C:消費、S:貯蓄、T:租税、Y:国民所得)

総需要曲線($\small Y_s$)は、消費(C)・貯蓄(S)・租税(T)をすべて合計すると、GDP(Y)と等しくなります。つまり、切片ゼロ、接線の傾きが1となり、45度線で表されます。

つまり、財の総供給は総需要に見合うだけ生産が行われるため、総供給($\small Y_s$)は国民所得($\small Y$)は一致している。

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【マクロ経済学】国民所得の決定理論【有効需要の原理を理解】

有効需要の原理を理解。

国民所得の決定【財市場の均衡】

これまで総需要曲線($\small Y_d$)と総供給曲線($\small Y_s$)を確認しましたが、総需要と総供給が均衡することを「財市場の均衡」といい、これを図示すると次のようになります。

 まず、国民所得が $\small Y_1$ のとき、総需要($\small Y_{d_1}$)が総供給($\small Y_{s_1}$)より大きいため、超過需要が発生している。ここで、供給側である企業が生産量を増やすと、生産量の増加に伴う雇用量の増加は国民所得を押し上げるため、総需要をさらに増加させる。こうしたプロセスを経て、総需要と総供給はE点で一致することになる。

 一方、国民所得が $\small Y_2$ のとき、総供給($\small Y_{s_2}$)が総需要($\small Y_{d_2}$)より大きいため、超過供給が発生している。企業側は需要に見合うように生産量を減少させるため、生産量の減少に伴う雇用量の減少は国民所得を減少させ、総需要をさらに減少させる。こうしたプロセスを経て、総需要と総供給はE点で一致することになる。

 このように財市場の均衡は総需要曲線($\small Y_d$)と総供給曲線($\small Y_s$)が交わる均衡点 $\small E$ で決定され、総需要の水準が総供給の水準を決定することを「有効需要の原理」という。

有効需要の原理とセイの法則【古典派経済学 VS ケインズ経済学】

マクロ経済学は学派によって考え方が異なります。

・古典派経済学(アダムスミス、リカード、セイ)
・ケインズ経済学

総需要が総供給を決定するという「有効需要の原理」はケインズ学派の考え方です。

一方、古典派経済学者であるセイは「総供給が総需要を決定する」とし、財を供給すれば何かしらの価格調整が行われ、必ずすべての財は需要されると考えました。このように「供給がそれ自らの需要を生み出す」という考えを「セイの法則」といいます。

ここはざっくり、「有効需要の原理」に対して古典派の「セイの法則」があると覚えておけばOKです。

おわりに:国民所得の決定メカニズムは図で理解する

国民所得の決定メカニズムはグラフで追わないと、なかなか理解出ないものです。

まずは、総需要と総供給の数式を理解し、グラフに落とし込むところからはじめましょう!

以上となります。参考になった方は応援もよろしくお願いします!

【参考文献】
中谷巌(2021)『入門マクロ経済学〔第6版〕』日本評論社.
齋藤誠他(2016)『マクロ経済学 新版』有斐閣.
大竹文雄(2007)『スタディガイド 入門マクロ経済学(第5版)』日本評論社.

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