こんにちは、とし(@tyobory)です。
ブログ更新48日目にとなります。
最近、何かと話題の「吉本の闇営業」についてです。
入江さんをはじめ、吉本芸人が闇営業をしたとして、吉本興業はお笑い芸人11人を活動停止による謹慎処分を科しました。
その中に、お笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんや「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮さんなど、名立たる芸能人が関与しており、テレビ業界に更なる波紋が広がりそうです。
以下、参考記事です。
この事案について、色々切り口がありますが、今回は会計的な視点から「吉本の闇営業」について深掘りしていきたいと思います。
【吉本の闇営業】吉本芸人の確定申告と脱税の可能性【会計的視点】
何が問題か正しく知る。
【吉本の闇営業】ことの発端は何?
以下、内容です。
5年前、入江さんを主体として、吉本興業を通さずに「裏営業」を行い、そこに多数の有名芸人が参加したのが事の発端となります。
問題はこの「裏営業」が後に詐欺グループとして逮捕された組織、いわゆる反社会勢力に対する会合に参加していたことです。
いろいろ論点がごちゃ混ぜになってますが、問題を整理すると以下の3つです。
2.反社会勢力組織に対する営業(「闇営業」)
3.闇営業に対する金銭の授受
一つ一つ問題を切り分けていくと、何が問題かがみえてきます。
さらに深掘りしていきます。
吉本を通さない「裏営業」
まず、吉本(会社)を通さない営業についてです。
これが果たして問題かということです。
ここで、一つ議論が巻き上がっているのは「労働契約」についてです。
吉本所属の「ハリセンボン」近藤春奈さんは、「吉本と労働契約は結んでない」と言います。
実際、吉本興業のお笑い芸人の皆さんは、よくテレビで「まだ駆け出しなので1回のギャラは500円なんです」という話をしていたりします。
もし吉本興業の従業員として雇用契約を結んでいた場合、最低賃金に触れ会社が処罰を受けることになります。
吉本興業は最低賃金法違反?
以上のように聞くと、吉本が違法しているように聞こえます。
正確には違います。
吉本興業所属の芸人は雇用契約をしておらず、所属芸人と吉本興業の関係は「雇用契約」ではなく自身のマネジメントを芸能プロダクションに委任する「委任契約」という形です。
つまり、吉本のお笑い芸人は労働によりお給料(給与所得)をもらっているのではなく、個人事業主として報酬(事業収入)を受け取る形です。
以上から、契約内容によりますが、他で営業して稼いでも問題ないと判断されます。
「1回のギャラ500円」とか見ると、むしろ裏で営業しないと、食っていけないことは容易に見て取れると思います。
吉本のお笑い芸人は「裏営業」しようとも、個人事業主なので、会社的にはアウトでも、社会的には全く問題ないところに会社と芸人の間で軋轢を生み出していると言えます。
反社会勢力組織での営業(「闇営業」)
よく芸能界と「黒いつながり」は週刊誌でも取り沙汰されています。
今回の件は、金払いの良い営業先の一つだったということではないでしょうか。
全員が口を揃えて反社会的グループとは知らなかったと仰っていますが、おそらくこれは本当だと思います(ただし、入江さん本人を除いて)。
当時は、このグループは詐欺で逮捕される前だったので、分かっていたらこんなところに営業に行くのかという話です。
問題は、「黒いつながり」を否定していたが、「金銭の授受がなかった」とウソをついたことです。
下手したら、反社会組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に使われていた可能性もあります。
芸能人はイメージ商売なので、スポンサーはクリーンなイメージを大事にします。
当然、テレビ番組から降ろされても無理もないといえます。
ここで一番大事なのは、金銭の授受の件です。
闇営業での金銭の授受
この点が、お笑い芸人11人が無期限活動停止になった一つの理由だと考えています。
「裏営業」につながるところですが、これら営業活動は吉本の管轄外です。
今回、吉本が目の届かないところで金銭のやり取りがあり、その報酬について確定申告していない可能性が高いです。
つまり、「裏営業」自体問題はないが、その報酬を個人事業主としてちゃんと申告しているかが争点にあがります。
吉本興業の幹部は次のように述べています。
これは間違いなく、裏で受け取った金銭の申告はしていないことが予測されます。
今回の「闇営業」は脱税に当たるのか?
私法として、脱税の要件は以下となります。
・その異常な取引形態によっても通常の取引と同様な経済的効果が得られる。
・その異常な取引により税負担を減少させることができる
今回のケースは脱税でもおかしくはありません。でも、「脱税」での立件は難しいです。
理由は、この所得隠しが「申告漏れ」なのか「脱税」なのか、立証が困難だからです。
本人が「脱税です」と自白しない限り、真意や意図が分からないところがまた肝です。
これ以外にも、今回吉本興業の対応が尋常じゃなく速かったの覚えてますでしょうか。
上記の吉本興業の声明の裏を読むと、浮かび上がる真実があります。
謹慎処分としながらも、お笑い芸人11人を守っている発言となっています。
じっくり読むと、「謹慎中のタレントを中心に健全な申告を行うように求めていく」です。
つまり、「個人事業主としての税務の知識がなかった」という言い逃れのルートを作ってあげています。
以上から、今回のケースは「申告漏れ」で落ち着くと思います。「脱税」での立件はないです。
吉本の闇営業から学ぶ芸能人の確定申告の話
芸能人は個人事業主…
芸能人は給与所得者なのか個人事業主なのか?
芸能人といっても様々で、その活動状況は千差万別です。
タレント、男優、女優、、歌手、芸人、アイドル、ファッションモデル、フリーアナウンサーなど様々です。
芸能人が給与所得者なのか事業所得者なのかについては契約によります。ただ、多くの場合、個人事業主として事業所得者となり確定申告をするみたいです。
給与所得だと給与所得控除のみで、実際かかった経費を落とせないので、基本的には個人事業主として事業所得を得て活動しています。
個人事業主(芸能人)として確定申告を行う必要があるかの判断基準
個人事業主として確定申告を行う必要があるかどうかの判断は、以下が基準となります。
2.給与の年間収入金額が2,000万円を超えているか。
3.給与を2か所以上から受けている(給与源泉徴収の対象となる場合など)
4.その他確定申告を行う必要がある一時所得や不動産所得などが発生しているか
ざっくりこんな感じです。
少なくとも、個人事業主として事業所得が発生したら確定申告をする必要があります。
また、珍しいかもしれませんが、給与所得として2000万円超えまたは2か所以上もらっていたら確定申告する必要があります。
芸能人の場合、2000万円くらい普通に稼ぐので、確定申告はほぼ確実にやらないといけません。
終わりに:この一件から、多くのことが学べます
芸能人の「裏営業」や「闇営業」とかの言葉に踊らされず、ものごとの本質を考えることが大事だと思います。
何がグレーで、何がアウトなのか、そしてどういう対応をしたのか、これを考えていくことにより、社会のシステムを知り、いろいろな勉強ができます。
こういった事案はなかなかないので、これを機会に少し会計の勉強をしてみてはいかがでしょうか。